TEAM ROYスタッフコラム 【Vol.2】
~マネジメントから見る小林陵侑の世界~
ROYの目指す次のステージとは
自らコラムのタイトルを掲げておきながら、かなり難しいテーマだ。
だが、Ryoyu Kobayashi を知るすべての人が一番知りたいと思っている事だろう。
いつもインタビューしていただいている記者の方々は熟知しているが、「今シーズンの目標は?」に対するROYの答えは一貫して「(まずは)ワールドカップ1勝」だ。
これまで32勝(24年12月31日現在)し、オリンピック金メダルやW杯個人総合チャンピオンに2度輝いているのに、“謙虚な発言”だと受けとめる人もいれば、もっとメディア受けする“ビッグマウス”な答えを期待しているのかもしれない。
◎世界で戦うアスリートの世界
単純に今のスキージャンプの世界のレベルはものすごく高い。強豪国と言われているオーストリア、ドイツ、ノルウェー、スロベニアは非常に選手層が厚い。更に日本人選手はFar Eastの国から欧州のアウェイの中に乗り込んで戦っている。女子ジャンプ66勝の髙梨沙羅選手も次の1勝の壁は高い。今、世界で勝つのは簡単ではないのだ。
過去10年間のW杯個人総合ランクを振り返っても、トップ10に入ったのは“師匠”レジェンド葛西紀明選手ただ一人、2014/15シーズンの6位と2015/16の8位の2回だけ。
そんな世界でROYはW杯個人総合ランクで6年連続5位以内を維持してきている。
これは史上初の快挙でもあり、もっとクローズアップされるべき驚異的な結果だろう。
24/25シーズン序盤は本来のROYのトップパフォーマンスを出せていない。
しかし、それでも日本代表チームのトップの選手なのだ。
◎「目標はワールドカップ1勝」の真意
インタビュアーがROYに過去の試合の事を質問すると「覚えてないっすね」と答える事が多い。これは、“サービス精神”がないのではなく、本当に覚えてないらしい。
何故ならROYは常に目の前の事に集中する事で結果を残してきた。その積み重ねが、世界チャンピオンなのだ。
悪いことも引きずらない。一方で良いことも忘れてしまう。
当然、この時期、メディアの質問は“ミラノ・コルティナ2026”に向けて、どんな課題をもって取り組んでいるか、どんなプランを持って新たな取り組みをしているか聞きたい。
しかし、彼は「いつも通り。特に変わった事なく」だ。
◎ROYの目指す次のステージ
ROYと出会ってから10年になるが、今、マネジメントとして一番、大変な事は、彼は「絶対に満足しない」という事だ。
常に、もっと、もっと!!なのだ。
そして、昨年、2023/24シーズンはジャンプ週間総合優勝。表彰台14回、W杯個人総合2位。4月にはアイスランドにて291mの世界最長飛行記録。
正直、そんな彼の次の目標など、書けるはずがない。
ここまで読んでいただいた方、ごめんなさい。
オリンピック2大会連続金メダル? 300m400mへのチャレンジ?
それらはROYにとって、目の前の通過点でしかないだろう。